[KHR-3HV]改造ポイント一覧

KHR-3HV をガンダム化するための改造ポイントを以下に紹介します。

  1. 足の大腿部と下腿部の延長
  2. 足首パーツの新規設計
  3. 足の胴体付け根金具の左右入れ替え
  4. 手足の水平回転軸増設(サーボモータ増設)
  5. 胸部を背後側に移動
  6. オリジナルハンドユニット追加
  7. ガンダムバックパックの新規設計
  8. ヘッドユニット改造
  9. ジャイロ、加速度センサー追加
  10. 無線コントロールモジュール追加

個々の詳細についてはこの後説明していきます。
なお、上記4, 9, 10についてはメーカー指示のオプション改造で、説明書はWebからダウンロード可能です。

 


(参考)近藤科学製品マニュアル

KHR-3HVオプション搭載マニュアル(5軸拡張オプション) Ver1.2

KHR-3HVオプション搭載マニュアル(ジャイロKRG-4)

KHR-3HVオプション搭載マニュアル(加速度センサーRAS-2C)

KRC-4GP 無線機搭載マニュアル

ガンダム開発計画

ここまでの検証にて理想とする「動くガンダム」が実現できそうであるという結論が得られたため、本格的な設計・製作にフェーズを移したいと思います。

未知の作業を進めていくには計画が大事ですので、この場では本企画の方向性とスケジュール、予算をある程度明確にしておきます。


プロジェクト大方針

・ガンダムとしての格好良さと、二足歩行ロボットとしての機能を可能な限り両立する。

・開発期間は一年を目標とし、遅くとも2年以内に完成させる。ダラダラ作らない。

・ベース機体は近藤科学のKHR-3HVとする。

・ガンダムの装甲は3D-CADで設計し、3Dプリンタで製造する。

・メンテナンス性を考慮して装甲はスナップフィットもしくはネジ止めでベースフレームに固定出来るようにする。


スケジュール

発案) 2014年7月
事前検討) 2014年8月〜10月
ハード製造) 2014年11月〜2015年10月
ソフト検証) 2015年春以降

※今まで話題にしていませんでしたが、このブログは過去を振り返りながら書いており、実際は現時点でハード(器?)はほぼ完成しています。やや遅れがありましたが、だいたいスケジュール通りに進行しました。公表タイミングは検討中です。


予算

35~50万円程度

(内訳)
KHR-3HV & 純正オプションパーツ: 20-25万円
内部フレーム改造&装甲製造費用: 10-20万円
その他 工具購入&消耗品費用: 5万円

初期費用は20万円ぐらいかかりますが、あとは月2万円ぐらいでやりくりしていきます。


以上です。

さ~てと、それじゃあ15万円のロボット、ついに買うかぁ~(ドキドキ)

(事前検討編、終わり)

ガンダムらしい足を実現できるのか?

事前検討の最終課題になります。

KHR-3HVの下半身をガンダム化できるのか?について検証します。
まず、KHR-3HVの下半身をよ~く見つめます。
そして気になった点を以下に記載します。

①股間分の両脚の隙間が狭すぎる
②足が短い
③ケーブルがある。ザクならいいんですけどね。
④左右方向に関節部が太い。幅広。
⑤股関節がボールジョイントでない。足の付け根の前後運動する関節がガンダムと比べて低位置

こんなところです。これから一つ一つについて細かく対応策について検討していきます。

①股間分の両脚の隙間が狭すぎる

khr3hv_kokan

この図の○の隙間が狭く、ガンダムのふんどし部分のスペースが十分取れません。なので、四角で囲んだ2つの金具を左右入れ替える処置で課題がクリアできそうです。次のようになります。これなら大丈夫そうです。

khr3hv_kokan_r

 

②足が短い

以前もお話しましたが、これだけは譲れません。足を延長します。下記のKHR3-HVとガンダム用に設計した足の長さを見比べてみれば一目瞭然ですね。およそ10cm長くなっています。①も含め、歩行動作が難しくなる改造となりますが、この設計で突っ走ります!

khr3_legs_framelegs_frame

 

③ケーブルがある。ザクならいいんですけどね。

上記左側KHR-3HVの足写真を参照ください。各サーボモータをチェーン接続するためのケーブルが両脚の外側に配線されています。これはもうどうしようもないです。ガンダムの装甲を設計する際にできるだけケーブルを隠す(しまう)ように気を遣うことで可能な限り回避する方針とします。

 

④左右方向に関節部が太い。幅広。

上記②の写真を見てもらえればわかりますが、膝部分の関節の左右幅がけっこうあります。この形状でガンダムのような足(下記左図)が再現できるのか、半信半疑でしたが、頑張ってCADを駆使して可能な限りスリムに設計してみました。下記右図を御覧ください。なんとか許容範囲でいけそうです。

daibaG-legsGLC-legs

 

⑤股関節がボールジョイントでない。足の付け根の前後運動する関節がガンダムと比べて低位置

基本的にガンダムの股関節はボールジョイントで、人の股関節と同様の作りになっています。今のホビーロボット市場にそのような動作が可能なモーターは存在しません。よって3つのサーボモーター(=つまり3つの回転軸)で3次元の動きができるようになっています(①の画像を参照ください)。このとき困るのが、前後方向の回転軸が一番下に配置されてしまっており、ガンダムの腰部のフロントアーマー(黄色い四角のついてる部分)が、膝を上げたときにつっかえ棒になってしまう懸念があります。

これについては、課題を意識して、膝を上げた際にうまく腰アーマーもスライドできるよう、工夫していきます。(アイデアはいくつかありますが、これは実物を使って試行錯誤する他ないので、この場でのこれ以上の説明は省きます。

 

以上、説明してきましたが、①~④については、構造上の問題は何とかできそうな感触です。⑤も工夫で何とかいけると考えていますので、今回の課題もクリアの判定とします。

よってここまでのすべての課題がどうにかなりそうな結論となりましたので、晴れてお金を投入して本プロジェクトを本始動させる踏ん切りがつきました。

次回の投稿ではプロジェクト推進計画を明確にして、事前検討編を終了にしたいと思います。

 

3D-CADの選定

次は、ガンダムの装甲を設計するために使用する3D-CADの選定です。

選定の要件は、

・.stl形式のデータが作成できること(これが作れれば大抵の3Dプリントサービスは発注可能です)。
・CADソフトの価格が安いこと。できればフリーだと良いですね。
・使いやすいこと。

これぐらいです。3つ目は感覚的なので判断難しいですね(汗)。かく言う私も、初めは右も左もわからない状況だったので、ネットで調べてみて、紹介文に「使いやすい」とか、「初心者でも使える」とか書いてあるフリーソフトをダウンロードしてとりあえず使ってみるしかありませんでした。

幸運だったのか、検索センスが良かったのか分かりませんが、結果的に、初めて使ってみた3D-CADソフトを今も使っています。

お待たせしました。そのソフトの名は、
Design Spark Mechanical
です。フリーソフトです。

他のソフトは使ってみた試しがないので比較した上でのメリットは説明できませんが、初心者の私でも使えたので、きっと良いソフトを選ぶことができたんだと思います。

簡単な内容ですが、下記に比較サイトをご参考に紹介しておきます。

フリーで使える3D-CADソフト

あと、ここには記載がありませんが、”Fusion360” も使いやすそうな予感があります。

※私がお勧めできるものは、使ってみたことのあるDesign Spark Mechanical だけですので、くれぐれも誤解無きようお願いします。

あと、CADソフトを選ぶ際に注意して欲しいのは、使いやすいのは良いとして、機能も初歩的なものしか入ってないものを選ばないようにして下さいね。

実際にDesign Spark Mechanicalを使って装甲データを作成した際のキャプチャー画面が以下となります。
Designspark_sample1

Design Spark Mechanical の使い方に関してはまた後でレビュー記事を書こうと思っていますので気長にお待ちいただけるとありがたいです。。

それではまた。

3Dプリンタ(サービス)の選定

まず、3Dプリンタを使用するにあたり、以下のどちらにするか決めなければなりません。
・市販の3Dプリンタを購入する
・3Dプリントサービスを利用する

池袋のヤマダ電機でいくつかの市販3Dプリンタを見てきました。色々置いてありましたが、コストパフォーマンスが優れ、店員さんにも勧められたのはダビンチ1.0A(XYZプリンティングジャパン株式会社)です。(2014年8月ごろの話)

また、ネットを使って3Dプリントサービスを請け負ってくれる業者さんを探したところ、 インターカルチャー(SOLIZE Products株式会社)さんが最適との結論に至りました。(こちらは2014年11月ごろの話)

そこで、ダビンチ1.0Aとインターカルチャーを比較してみます。

【価格】
ダビンチ1.0A:本体 希望小売価格 69,800円、カードリッジ(ABS)/1kg 4,000~5,000円
インターカルチャー:ガンダムの両脚の計70パーツ合計 40,900円

g-leg_3DCAD_data

これは、私が実際に作成したガンダムの足の装甲データです。約70パーツで4万円かかりました。

 

【造形素材】
ダビンチ1.0A: ABS, PLA(カラーバリエーションあり)
インターカルチャー:ABSライク(エポキシ)、透明(エポキシ)、ナイロン、ポリプロピレン、他

【精度】 ※積層ピッチで比較
ダビンチ1.0A:0.1~0.4mm
インターカルチャー:光造形機(ABSライク、透明):0.15mm、粉末造形機(ナイロン、ポリプロピレン、ゴムライク):0.1mm

今回、結論を言うと私は3Dプリントサービスの使用を選択しました。
価格に関しては、ガンダムの両脚パーツが4万円ですので、全身を作った場合、3倍の12万円になると仮定します。よってダビンチ1.0Aのほうが優勢となります。一方、扱える素材数はインターカルチャーが優勢です。精度については上記の数字でほぼ互角ですが、実際に仕上がった造形物を比較した結果、インターカルチャーで作成したもののほうが精度が高い印象です。

採用した3Dプリントサービスのメリット、デメリットを以下に記載します。
3Dプリントサービスを採用した理由をお分かりいただけると思います。

3Dプリントサービスのメリット:
・高性能機を使用しているので、造形レベルが高い。
・高額の3Dプリンタを購入後、メンテナンスの必要がない(故障修理や清掃が不要)。
・いつでも最新・高性能の機器を複数使用可能。
・家に3Dプリンタとカードリッジを置く必要がない。カードリッジを買い足す手間も不要。
・素材が選びたい放題(より良い3Dプリント業者に替えることも可能)
・家で何十時間もプリンタを動かしっぱなしにする必要がない。

3Dプリントサービスのデメリット:
・高額
・納期まで数週間かかる

数ある3Dプリントサービス業者の中でインターカルチャーさんを採用した理由も以下に記載します。
・自動見積可能(ネットですぐに発注物の費用を確認できる)
・素材の物性表一覧がネット上で公開されている。(私は素材の重さと頑丈さを気にして、メイン素材はポリプロピレンを採用しています)
・実際に発注してみて、顧客対応がとても良いです。

実際にガンダムを作る場合、「3Dデータの作成」→「発注」→「納品物のロボットへの組込み」を部位単位(腕ごと、足ごと、ということです)に行いそれを繰り返していくので、発注費用も分割支払いになりますし(月1~2万ぐらいです)、納期の長さも特に気になりません。

というわけで、今後、3Dプリントサービスを多いに活用していくことになります。